最終更新日時 2019年/12月/08日 by geiji
オッス!今回は退職代行は弁護士か民間業者どちらがいいのかというテーマについて、社労士の先生に尋ねてみたぞ。
この企画の経緯
オラはこのブログで
と、退職代行サービスについて何度か触れたことがあった。
退職代行には2種類ある。
民間業者によるサービス
オラは今まで、弁護士よりも民間業者をおすすめしていた。
なぜなら民間も弁護士も退職成功率が100%だから。
どちらも失敗したことが過去にないのであれば、料金が安い民間業者一択だと思ったからだ。
でも、それはオラの考えであって、本当のところはどうか分からない。
オラはこのブログでは自分が使ったサービスを主に紹介してるけど、退職代行だけは自分で使うことができねえ。オラは芸人じゃねえんだから、ブログのネタのために今の会社を辞めることはできねえ。
だから、退職代行だけはネットの情報や業者のホームページから判断するしかなかったんだけど、それじゃはっきりとしたことはわからねえ。
そこで、今回は退職代行は弁護士と民間どっちがいいのか、専門家の意見を聞いてみることにしたぞ。
今回インタビューを行った専門家の先生
今回インタビューを行ったのは「玉上信明」先生だ。玉上先生は三井住友信託銀行に勤務し、主に法務・コンプライアンスなどを担当。現在は社会保険労務士や健康経営エキスパートアドバイザーとしてとして執筆・講演などの活動を行っている。いわゆる労働問題のプロフェッショナルってやつだ。
もちろん退職代行にも詳しく、運営するブログで退職代行業者について意見を述べられているぞ。
社労士の先生に退職代行について聞いてみた!
ではさっそく、社労士の玉上先生に退職代行について質問してみたぞ。
民間業者は危険というよりも、限界があることに注意が必要です。
退職代行会社ができるのは、退職届を本人に代わって会社に届ける、ということだけです。
依頼者から報酬をもらって会社と退職交渉を行うことは、弁護士又は弁護士法人以外はできません。
仮に退職代行会社がそのような行為を行った場合、非弁行為として刑事処罰の対象にもなりえます。
すなわち、企業への退職通知提出や交渉業務、残業代・退職金の請求等は弁護士法違反の可能性が高いと思われます。仮に訴訟に発展した場合には、当然ながら退職代行サービス会社では対応できません。
なお、司法書士の場合も交渉業務、残業代・退職金の請求等には制約があり、結局、法律業務範囲に制限のない弁護士だからこそ幅広いサポートが可能になる、と考えられます。
【弁護士法72条】
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」
退職成功率100パーセントはウソだった?
交渉ごとで100%成功などありえません。誇大広告でしょう。
そもそも民間退職代行会社は交渉すら非弁行為として禁じられています。何をもって「成功率」としているのか疑問です。
業者のトラブルは起こっている?
ネットでは様々な問題事例が掲載されています。
2.「いついつまで退職を待ってくれないか」「最低でも引き継ぎはしてくれないか」というような、協議を持ちかけられることがあるが、退職代行業者は、会社との間で協議・交渉を行うことは法律上許されない。このような申し入れへの対応は難しい。
3.退職した場合、会社から離職票などの書類を送ってもらったり私物の返還を受けたりする必要があります。特に離職票は雇用保険の申請に必須です。このような重要な書類を送ってくれない、といったトラブルも考えられます。
(参考記事)
退職代行が失敗するケースとは?失敗時のリスクを極力抑える3つの方法
退職代行で損害賠償請求をされるリスクはある?リスクを極力軽減させる方法
東京の弁護士による19,800円の退職代行
弁護士事務所なら安心?
弁護士に依頼するメリットは大きく2つあります。
紛争になって訴訟になった場合も対応できる。前述のとおり、これらは民間退職代行会社ではできません。
弁護士は公的な資格です。会則違反や、所属弁護士会の秩序又は信用を害する行為、職務内外を問わずその品位を失うべき非行があった場合には懲戒処分の対象となります。最悪は弁護士資格を失うことすらあり得ます(弁護士法56条以下)。
民間の退職代行会社と異なり、弁護士会によるコントロールがしっかり行われています。
やはり民間の退職代行はおすすめできない?
私としてはあまりお勧めできません。
退職代行大手のEXITが、マスコミからの取材を受けた記事をホームページに掲載しています。その中の一つをご紹介します。自ら、自社業務と弁護士法との関係について問題を認識しているように思われます。
朝日新聞2019年3月25日
「使えない」上司に責められ…退職代行、私が頼んだ理由
(前略)
踏み込んだ交渉、「非弁行為」注意
退職代行へのニーズはある一方で、弁護士以外の業者による代行は、弁護士法が禁じる「非弁行為」にあたるとの指摘もある。深澤諭史弁護士(第二東京弁護士会)は「依頼者が伝えてほしいと言った定型的な言葉を伝えるだけなら非弁行為にあたらない可能性が高い。だが、それ以上の対応や助言業務をすると、非弁行為にあたり、依頼者が法的責任を問われる可能性もある」と指摘する。
EXITは「交渉など、非弁行為にあたることはしていない。線引きにあいまいなところがある点は認識しており、顧問弁護士に相談して業務範囲を適正にしている」と説明している。(沢木香織)
まとめ
インタビューをまとめると
成功率100%は誇大広告の疑いが強い
弁護士ならトラブルが起こりにくく、万が一のことがあっても対処してもらえる
以後民間の退職代行は慎重に扱うことに
【参考記事】
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